なるほど傑作!ダルタニャン物語第1部

しばらく前から『ダルタニャン物語』の第1巻と第2巻、いわゆる『三銃士』の物語を読んでいたのだが、今朝、息子を歯医者に連れて行って治療をまっているあいだに読み終えた。
『三銃士』は子供の頃に福音館書店の上下二巻本で読んだきりなのだが、今回読んであらためてうなったなあ。
アレクサンドル・デュマの物語作者としての腕前はもう本当にすごい。これが19世紀前半の小説なのか。今読んでも十分に胸が躍るストーリーの運びとハイスピードな展開、ユーモラスで愛嬌のある登場人物たち。
唯一、何だろうこれは、と思ったのは第2巻「妖婦ミレディーの秘密」の初めのところで、ダルタニャンがミレディーに夢中になって惚れてしまうところ。こういうのってちょっとよくわからなかったな。
ミレディーがどれほど魅力的なのかがあんまりそれまで書き込まれていなかったからな。
美人で見た目はいかにも清らかな乙女に見えるということしか書かれていないし、そもそもどれほどの悪女なのか(どんな悪いことをしてきたのか)ということも、第1巻ではそんなに書かれていないんだよね。
ミレディーの魅力(とその悪人ぶり)の本領が発揮されるのはむしろその後、ダルタニャンとの一件があった後の、第2巻中盤以降なのだった。
ここからあとの展開はもう怒涛というか、見事に読者を引っ張ってくれる。ドキドキしながら一気に読まされる。
鈴木力衛の翻訳がまた見事。古さを感じさせない、というよりも適度に古めかしいのだけれど、そこがぴったりはまる感じで、しかもまったく読みにくさがなく、これにも驚いた。