夏が終わる

夏が終わりつつある。
来週の火曜日でぼくの夏休みは終わる。気持ちがわさわさしてきた。
このひと月ほど、息をつめるように毎日仕事に向かっていた。
論文を一本書き、翻訳のゲラを読んだ。いまは訳者あとがきを執筆中。
それと来週オープンカレッジでフランス映画の話をしなければならないので、一日一本映画を見て映画史のおさらい。
こんな「夏」でよかったのだろうか。夏の終わりにはいつもそう思う。もっと有意義な過ごし方があったのではないかと。
論文一本では、あまりに成果として乏しすぎる。
たとえば本を一冊書くとか。映画を100本見るとか。
あるいは逆にまったく何もしないでひと夏を避暑地で遊び暮らすとか。(まあそんなことをするとあとでやっぱり後悔しそうだが)
とはいっても、本一冊書こうと思ったら、そのために少なくとも100冊から200冊ぐらいの本は読まないといけないからなあ。
論文一本書くのだって、数十冊の本を読み、雑誌論文などをいろんな図書館に行ってコピーしてきたりして、ノートを作って、それで書いてるんだからね。
準備ってものがあるから、ひと月程度の夏休みがあったって、本一冊ゼロから仕上げるってのはなかなか難しい。
だから普段からコツコツ積み上げておくしかないんだろうけど。

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昨日見た映画は、エリック・ロシャン「哀しみのスパイ」(1994年)。
これは傑作。美しい。
下品な説明やこけおどしのアクションとは無縁の、余情を湛えた瑞々しくリリカルなハードボイルド。
伏線の張り方、小道具の使い方、そして言葉抜きでわからせる抑制されたシャープな演出、どれをとっても心憎いばかり。

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訳者あとがきに、おおおもいっっきり難航。朝、上の文章書いてから一日中机にしがみついてた。なんでだ?なんですらっと書けないのだ?
今日は結局、「一日一本」の映画は観られなかった(泣)。