ゲームの規則

苦労して何とか一通り書き上げた訳者あとがきを送稿。
盛り込まなければならない情報が多すぎてうまく文章の流れの中にはまらないんだということがわかった。でもまあ仕方がない。

論文の締め切りも明日なので、もう一度読み返して手を入れる。こちらは初めから全部自分の文章だし、所詮(というのは特に卑下するのでも何か悪意があって言うのでもないが)「論文」だから、気が楽だ。何というのか、論文というのはもともと専門家だけを相手にした文章だから、地道に情報が並列されていればいいのである。飽きるとか、難解だとか、気にしなくてよい。

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昨日見たのはジャン・ルノワールゲームの規則』。
昔もちろん見ているが、ほとんど忘れていた。
覚えていたのは、ルノワールがクマの着ぐるみを着ていたシーンだけ。
これはなるほど傑作だが、二十歳そこそこでこれを観てその素晴らしさがわかる人っているのだろうか。
多くの人がこれをルノワールの最高傑作に挙げているが、そういう人たちはこれを何歳で見たのだろう。
トルストイの『アンナ・カレーニナ』を数年前に読んだ時も思ったが、大人の作品というのがあるのだ。
トルストイは大人のための小説家。ドストエフスキーは若者のための小説家なのである。
その意味で、『ゲームの規則』もまったく大人のための映画だった。若い頃見た僕が覚えていないのも無理はない。
ラストのマルセル・ダリオのセリフは見事な演技。あれだけでこの映画が名画に見えてくる。

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Toutes ces belles promessesという映画を探していて、DVDでもないかとアマゾンで検索したらヒットなし。が、「もしかしてToutes les belles processes」というメッセージが出たので、違うことはわかっていたのだが、あまりの偶然の一致に、「ほう、そういうのもあるのか」という気持ちでふとクリックしてみたら、やはりヒットなしだった。アマゾンよ、お前のサジェスチョンの意図がわからん。
(大体フランス語にprocesseなんて単語はないし)