パリは霧にぬれて

ルネ・クレマンの70年代の「サスペンス三部作」が観たくて、とりあえず近所のビデオ屋にあった「パリは霧にぬれて」を借りて観てみた。
が、なんというひどさであろうか。
こういうのを僕の用語では下品と形容することにしている。
わざとらしいというか、あざといというか、これ見よがしというか、要するに「いかにも」という画面作りや脚本に辟易した。
音楽もクサくて大げさきわまりない(ジルベール・ベコーだった)うえに、冒頭のあのぼかした画面も嫌い。

推理ドラマとしてもかなり粗雑なつくりで、大体、主人公の男が、その「頭脳と情報」を買われて、アメリカのある「組織」から「契約」にサインすることを求められているっていうんだけど、それが具体的にどういう「頭脳」なり「情報」なのか、ちっとも説明されない。子供の漫画じゃないんだから(笑)。
ギャグなのか、むしろ?
子供が、無垢ゆえに、とはいってもピストルで誘拐犯を撃ち殺してしまったり(この「無垢」の描写がまた腹が立つ)、なんか突然心変わりしてヒロインの味方し始めた「組織」の女があっさり警察に撃ち殺されてしまったり、脚本が無茶苦茶じゃないか。
推理物の二時間ドラマのレベル。
大体、フェイ・ダナウェイの顔もあまり好きじゃなかった。

うーん、でも『雨の訪問者』とか『狼は天使の匂い』とかは、いろいろ読んでみると評判がいいようだから、これだけが特にひどいのかもしれない。
一応ほかの2本も見るつもり。