三人称なのに一人称みたいな書き出しの件(続き)

昨日、クッツェー『恥辱』の翻訳で、「五十二歳という歳、まして妻と別れた男にしては、セックスの面はかなり上手く処理してきたつもりだ」という書き出しを挙げて、三人称なのに一人称みたいに書き出す文章作法という話をしたが、今朝、トイレで二日前の朝日新聞夕刊を読んでいたら、やっぱり同じような例に出会った。
そう、考えてみれば、最近新聞にこういう書き方多いんだよな。
社会面の「はぐ(Hug/育む)」という、子育て応援歌?みたいな連載記事(この手の連載も最近やたら多い)。
こんな書き出し。

「若いのに、育てられるわけがない」と親や周囲に言われてきたからだと思う。3歳と1歳の子どもがいる千葉県浦安市の元幼稚園教諭、○○○○子さん(26)は、「ちゃんとしたママになってみせる」と気負っていた。(朝日新聞夕刊12月16日付首都圏版4版14面)

こういう書き出し方がいつから流行り始めたのか、よくわからないが、新聞が多用するようになると、なんかすでにダサい(←死語?)んだよね。いや別に新聞に罪はないんだが。