*雑感

学びへのモチベーション

教師をやっていて思うことはいろいろあるけれど、その一つは、学生の学習意欲というか学習に向かう姿勢と、学力は別物だということだ。 つまり、同じ程度の学力でも、学ぶのが好きでその結果その学力に達している人もいれば、勉強にはさして関心がなく、でも…

政界進出も狙う?

今朝、ネットブラウザを立ち上げたら、yahooのトップページの写真が、フランスの自宅に帰るストロスカーンだった。 多分世間では、「婦女暴行容疑で逮捕された前IMF専務理事」として知られているだろう。 結局、被害者とされる女性の証言に不審な点が多いと…

国名シリーズ新訳刊行開始

半年ほど前、クイーンの『ローマ帽子の謎』について、クイーンの国名シリーズの翻訳はそろそろ賞味期限が過ぎているだろう。誰か新訳すべし、と書いたころがあるが、 (今調べたら、今年の4月7日付の記事だった) 今日、吉祥寺の本屋に入ったら、『ローマ帽…

認知症、振り込め詐欺、無洗米

造語能力というのはどんな言語にもあるものだが、日本語の造語のセンスというか、作り方が、なんか自分の感覚とずれていると感じることが数年前から多くなった気がする。 その最初が、順番はあまり覚えていないが、「認知症」だったと思う。 これはその前は…

驚きを隠せない

ものすごく久しぶりだ。今確かめたらもう1ヵ月半ぐらい経ってるじゃないか。前の書き込みから。 しかし話はつながっている。 もう一つ、気になる言葉遣いということで。 いやこれは状況を考えるとあんまり突っ込むのは悪いのだけれど、 よくテレビの街頭イン…

「がんばる」は他動詞か

もう何年も前から気になっている表現の一つに、「〜を頑張る」というのがある。 例えば「今学期は、英語を頑張ります」みたいな言い方だ。 学生たちがよく書いてくるので、ったくもう気持ち悪い言葉遣いしやがってと思っていたのだが、子どもたちが小学校に…

明日は都知事選

昨日、都知事選のことを少し書いた。 僕もいろいろ悩んだのだが、やっぱり今回は(も?)正攻法で行くことにした。 だって小池さんが一番まともなことを言っているんだもの。 まともなことを言っている人にちゃんと票が入るということを示したい。たとえ一票…

親とこどもについて、言葉について、教育について

実家で要介護状態となった親に付き添って病院に行ったり、腕を貸して並んで歩いたりすると、頭をよぎるのは「生の順番」とでもいう観念だった。 昔僕を育ててくれた両親が、今は僕の助けがいる状態になっている。 今僕が育てているこどもたちも、やがて僕に…

地震発生時のことなど

地震から一週間以上が経った。 この日記を更新するのも久しぶりだ。 さっき見たら前の記事は1カ月以上も前のものだったので自分でも驚いた。 とりあえず僕の周囲には大した変化はない。 地震が起きたとき僕は僕の部屋で、妻は妻の部屋で、それぞれ仕事をして…

中山元訳『純粋理性批判』のアマゾンレビューに思う

中山元訳のカント『純粋理性批判』(1)のアマゾン・レビューをたまたま見ていて思ったこと。(今URLを貼り付けようと思ったら、つーか貼り付けたら、ものすごい気持ち悪い長〜い数字や%記号の並んだものになったからやめる)評判どおり、中山さんの非常に読み…

「翻訳できないもの」について

翻訳についていろいろ考えるのだが、結局、僕の立場はまずは次の言葉に要約される。 翻訳できるものは翻訳できる。翻訳できないものは翻訳できない。 しかし翻訳できないものは、実は「翻訳」の問題ではなくて、そもそもどの言葉でも「表現」できないものな…

授業について

昔、大学1年のとき、どういうわけだか(というか、わけはあるのだけど書くと長いので省略)文学部のくせに理系の学生の教科書である「ファインマン物理学」の1巻をわざわざ買ってきて読み始めたことがある。 結局最初の方しか読まなかったけど。 その序論み…

『犬身』と『音楽の聴き方』

『犬身』について書くつもりが、また数日経ってしまった。 松浦理英子がこんなにエンタメのサービス精神のある人だとは意外だった。文章が的確でよく整理されていて心地よいし、話の運び方もうまいので、巻頭から一気に引き込まれてしまう。 話が出来すぎと…

三人称なのに一人称みたいな書き出しの件(続き)

昨日、クッツェー『恥辱』の翻訳で、「五十二歳という歳、まして妻と別れた男にしては、セックスの面はかなり上手く処理してきたつもりだ」という書き出しを挙げて、三人称なのに一人称みたいに書き出す文章作法という話をしたが、今朝、トイレで二日前の朝…

愛もないのに語る人々

図書新聞2981号で、巻頭の白井聡と白石義治という人の対談を読んでいたら、白井さんという人の方がこんなことを言っていた。 「なぜ現在の日本に嫌な空気が漂っているのか。対象に対する愛がないくせに、ある対象について語りたがる人間が多すぎる。例えば、…

過剰と欠如は矛盾しないのだろうか

一昨日、上井草のプールに行ったら、昨日の夜ぐらいからそろそろと筋肉痛になり始めた。歳をとると時間差で来る。 本当は週1ぐらいでせめて行きたいのだが、そんな時間も根性もなく、前回から見ると月1になってる。そんで毎回筋肉痛と。*********…

今朝、息子がテレビを見ながら

今朝、息子(小3)がテレビのCMを見ながら、「女の人って夜寝るときオムツみたいなのしてるの? どうして?」と一言。 「もらしちゃうのかなあ」には妻も苦笑。 昔に比べてずいぶんあけっぴろげになってしまったことは誰もが感じていると思うが、あんまりあ…

文学性と言い換えてもよい

夜、妻が保育園の委員の打ち合わせを兼ねて近所の奥さんと飲みに出かけたので、息子&娘その2とぼくの3人で夕食。ハンバーグ、インゲンのバター炒め、プチトマト、ポテトのマヨチーズ焼き、冷奴。 ちなみに木曜から娘その1もキャンプで大島に行っているので…

ジッドの言葉

ヴァルター・ベンヤミンが伝えるアンドレ・ジッドの言葉として、次のような一節がある。================== ちょっと休んでから、ジッドは言った。 「(略)今日のうちにあなたに、ドイツ語に対する私の関係について、いくらか話しておき…

週7コマのレギュラー番組

久しぶりの更新。なんか本当に疲れてる。 今、大学のごたごたに巻き込まれている。昨年移ってきたばかりだけれど、来た早々こんなことになっているとは...。 心労でよく眠れない日が続いて、参ってしまう。********************授業する…

訳読せずに討論?

先週と同じような金曜日。抜け殻状態となって昼寝3時間。 相変わらず疲れている。月曜から木曜がやっぱりきついのだなあ。 昨夜は2年生のクラス飲み会。天候のせいかドタキャンが相次ぎ(結局みんなあんまり乗り気じゃないんだよな)、人数はちょっとさびし…

練習問題とイマジネーション

ところで、文法の練習問題というのは、だいたいつまらないものである。 それでも、フランスで作られた教科書や問題集には、比較的頭を使ったようなものが多い。 たとえば、 Je vais au ( ), j'ai sommeil. に、「1. lit 2. salle de bains 3. bureau」のどれ…

ダンスが演技であるように

先日、娘のHipHopの発表会を見に行ったことは書いた。 基本的に子どもたちの発表会なので、お遊戯程度のものが多いのだが、中にはキッズといってもかなり上級者もいて、あれは高校生ぐらいなのかな、高校生も一応キッズとかジュニアとかの枠内に入るらしい、…

とりあえず訳了

午前中、残り9ページほどになっていた翻訳に打ち込む。 さきほど最後の一行を訳し終わってふうっと一息。 たぶんプロなら、これでほぼ出来上がりということになるのかもしれないが、僕は自分の書いたものを読み返すのが苦痛で、翻訳作業中はひたすら前に進む…

サークルの顧問というものは

同僚の先生から、サークルの顧問を引き受けてくれないかとメールが来た。自分のクラスの学生から頼まれたらしいのだが、自分はすでに一つやっているので(原則、一教員一団体が大学のルールらしい)、もし僕がまだ持っていなかったらお願いしたいとの由。 一…

文体に共感する

とでも言いたいような気持ちに、ほかの人のブログを読むと、なることがある。 共感というのは、ふつうは、その人の意見とか主張とか、内容に共感するものだが、そういう内容とかではなくて、その文体、その「手つき」みたいなものに共感するのである。 (そ…

日記を書こうと書くまいと

日々やっていることに違いはないのだけれど、日記をつけていると、なぜか毎日いろんなことをやっているという感じがするのが不思議だ。 そう言えば、昔、大学生のころにごくごく短期的に日記をつけていたことがあって、それを偶然久しぶりに読み返したとき(…

Yahoo!知恵袋フランス語

昨日、偶然にネットでYahoo!知恵袋のフランス語というカテゴリーに行き当たったので、ちょっと見てみて、驚いた。 なんとかをフランス語で何と言いますか、とか、何々をフランス語にしてくださいとか、和訳してくださいとか、結構みんな気軽にひょいひょい…

教養対決?

土曜日か金曜日の新聞だったか、下の書籍広告でなんかの新書があって、大学関係のもので、タイトルも何も一切忘れてしまったが、中に内容紹介的な見出しで、一つ「早稲田大国際教養学部VS慶應大SFC、教養対決!」みたいな一行があった。 早稲田も慶應SFCもま…

翻訳集中月間

2月の入試期間が終わり、ほとんど家で仕事をしている状態になったので、今月はよく翻訳が進む。 亀山郁夫さんが、二年間ずっとカラマーゾフの翻訳をしていたころのことにふれて(あれを二年でやったとしたらそれもすごいが)、翻訳というのはとにかく動物的…