とりあえず訳了

午前中、残り9ページほどになっていた翻訳に打ち込む。
さきほど最後の一行を訳し終わってふうっと一息。
たぶんプロなら、これでほぼ出来上がりということになるのかもしれないが、僕は自分の書いたものを読み返すのが苦痛で、翻訳作業中はひたすら前に進むことしかしなかったので、これからまだ全体をもう一度読み返して、全面的(かつ徹底的)に推敲する作業が残っている。だから、これからが本番とさえ言えなくもない。

昔、小鷹信光さんの本だったか、で、プロの翻訳家になるには、一日に午前4時間午後4時間翻訳をし続け、次の日にはまず前日の分を見直すことから初めて同じように8時間仕事をする、これを毎日繰り返して苦にならない、という人が翻訳家に向いている、というようなことが書いてあったような気がする。
毎日机に向かって翻訳することはあまり苦にならないが、「前日の分を見直して」というところが失格だな、と毎日思いながら作業していたのであった。 (だって、どうしても前に進みたくなるんだもん)

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お昼を食べた後、朝日新聞を読んだら、一面と二面に「ルポにっぽん」の企画記事で、ダブルリミテッドの子どもたちの問題が取り上げられていた。
「日本語も母語も、いずれも満足に話したり読み書きしたりできない」のが、いわゆる「ダブルリミテッド」の子どもたちだという。
記事に描かれた子どもたち(中には大人といってもいい年代の子もいるが)の姿は、悲しい。
「ある程度の抽象概念を母語で表現できて初めて、次の言葉を習得できる。母語の土台がないと考える力が育たず、どっちの言語も中途半端になるのではないか」と、ある教諭の弁が紹介されている。
前に「教養対決?」の欄で書いたことにそのままつながっている話題だが、何よりもまず母語を磨くこと、母語以上にできるようになる外国語などないのだから、ということが、もっと当たり前の共通認識になるといいな。
(そうすれば学校教育でもっと国語を大事にしてくれるだろう)